子育て|言葉・コミュニケーション
1歳半で言葉が出ないときに整理したいこと
1歳半になっても、まだはっきりした言葉が出ない。 そんな不安を、親の責任にせず、場面・頻度・生活への影響に分けて整理します。
1歳半になっても、まだはっきりした言葉が出ない。 まわりの子が「ママ」「ワンワン」「ブーブー」と話し始めているのを見ると、胸の奥がざわざわすることがあります。
「自分の関わり方が足りなかったのかな」「テレビを見せすぎたせいかな」「発達に遅れがあるのかな」。 そんなふうに、頭の中で不安が膨らんでいくこともあると思います。
でも、1歳半で言葉が出ないことだけを切り取って、すぐに「親のせい」「発達障害」「手遅れ」と決める必要はありません。 大切なのは、子どもの様子を一つの点で判断するのではなく、場面、頻度、理解していること、伝えようとしている方法、生活への影響を分けて見ることです。
私自身も、ADHD・ASDの当事者であり、4人の子どもを育てる中で、子どもの発達や言葉のことで不安になった経験があります。 親が疲れていたり、お金や仕事の不安を抱えていたりすると、子どもの小さな変化にも「自分の責任ではないか」と感じやすくなります。 もちろん家庭ごとに状況は違いますが、不安を一人で抱え込まないことは、とても大事だと感じています。
悩みが強くなる理由
1歳半という時期は、親にとって比較しやすい時期です。 健診が近い。保育園や親族から何気ない一言を言われる。 公園やSNSで、同じくらいの子が話している姿を見る。 すると、どうしても「うちの子だけ遅れているのでは」と感じやすくなります。
特につらいのは、言葉の遅れが目に見えにくいことです。 歩く、走る、食べるといった行動は周囲にも分かりやすいですが、言葉や理解の状態は、家庭の中で毎日見ている親ほど不安になりやすい部分です。
ただし、ここで大切なのは、「言葉が出ない」という一点だけで結論を急がないことです。 見るべきなのは、言葉そのものだけではありません。
- 大人の言っていることを少しでも理解しているか
- 好きなものや欲しいものを伝えようとしているか
- 指差し、視線、身振り、声など、言葉以外の方法で伝えているか
- 音への反応に気になる点がないか
- 家と外で様子が違うか
- 睡眠、食事、癇癪、感覚の過敏さなど、生活全体で困っていることがあるか
まず確認したい場面と頻度
最初にやることは、子どもを評価することではありません。 一週間ほど、気づいたことを短くメモしてみます。 細かい記録を完璧につける必要はありません。
1. 言葉以外で伝えようとしているか
言葉は出ていなくても、子どもが何かを伝えようとしている場合があります。 欲しいものの方を見る、手を伸ばす、大人の手を引く、声を出す、表情を変える、物を持ってくる。 これらは「言葉ではないから意味がない」のではなく、子どもなりの伝え方です。
2. 大人の言葉をどのくらい理解しているか
「おいで」「ちょうだい」「座って」「ごはんだよ」など、日常の短い声かけに反応するかを見ます。 毎回できる必要はありません。 眠い、疲れている、遊びに集中しているなど、状況によって反応が変わることもあります。
3. 音や呼びかけへの反応
名前を呼んでも振り向かないことがあると、不安になると思います。 ただ、集中していると反応しない子もいますし、音の聞こえ方や環境の影響が関係することもあります。 聞こえの心配がある場合は、自己判断せず、健診や医療機関、自治体の相談窓口で相談する方が安心です。
4. 場面による違い
家では声が出るけれど外では出ない。 親には伝えようとするけれど、園ではあまり出ない。 このように、場面によって差があることもあります。
5. 親が一番つらい場面
子どもの記録と同じくらい大切なのが、親自身の限界です。 言葉が出ないことそのものよりも、要求が分からず一日中泣かれること、きょうだい対応と重なること、仕事や家事が止まること、周囲から責められることの方がつらい場合もあります。 相談先には、子どもの様子だけでなく「親がどこで限界に近いか」も伝えて大丈夫です。
家庭で負担を下げる対応
家庭でできることは、「言葉を出させる訓練」を一気に増やすことではありません。 まずは、子どもも親も疲れにくい形で、伝わる場面を少し増やすことです。
言わせるより、伝わった経験を増やす
子どもが水を指差したら、「お水だね」と短く言って渡す。 車を持ってきたら、「車、走るね」と言う。 泣いて要求したときも、分かる範囲で「これが欲しかったんだね」と代わりに言葉にする。 これは、無理に発語させるというより、「伝わった」という経験を増やす関わりです。
声かけを短くする
不安なときほど、親はたくさん説明したくなります。 でも、1歳半前後の子には、長い説明より短い言葉の方が伝わりやすいことがあります。 「靴を履いて、玄関に行って、それから車に乗るよ」よりも、「くつ」「いくよ」「車」のように、場面に合わせて短くします。
選択肢を少なくする
「どれがいい?」とたくさん並べるより、「お茶?水?」のように2つに絞る方が、子どもも反応しやすくなります。 指差しや視線で選べたら、それも大事なコミュニケーションです。
親の負担を下げる仕組みを作る
言葉の悩みは、毎日の生活とつながっています。 着替え、食事、外出、寝かしつけ、きょうだい対応。 すべての場面で丁寧に関わろうとすると、親が先に限界になります。 まず一日の中で一番しんどい場面を一つだけ選び、その場面だけ工夫します。 全部を変えようとしなくて大丈夫です。
園・学校・相談先へ伝えるメモ
相談するときに、「言葉が出ません」だけだと、親も何を話せばよいか分からなくなります。 次の形でメモしておくと伝えやすくなります。
- いつから気になっているか
- 出ている言葉、または近い音はあるか
- 欲しいものをどう伝えるか
- 大人の言葉にどのくらい反応するか
- 指差し、視線、身振りはあるか
- 音への反応で気になることはあるか
- 家と園、外出先で違いはあるか
- 癇癪、睡眠、食事、感覚の過敏さなど、生活で困っていること
- 親が一番困っている場面
このメモは、きれいに書く必要はありません。 スマホのメモに箇条書きで十分です。
受診・相談を考える目安
1歳半で言葉が出ないことが気になったら、まずは1歳6か月児健診や自治体の子育て相談、保健センター、かかりつけ医などに相談するのが現実的です。 1歳6か月児健診は、言葉や歩行など発達の様子を確認し、必要な相談や支援につなげる機会でもあります。
- 言葉だけでなく、聞こえや反応にも心配がある
- 要求が伝わらず、親子ともに毎日かなり疲れている
- 園や周囲からも相談をすすめられている
- 癇癪、睡眠、食事、感覚過敏など生活全体で困っている
- 親が不安で眠れない、涙が出る、日常が回らない
相談は、子どもに名前をつけるためだけではなく、家庭でどう関わるか、園とどう共有するか、親の負担をどう減らすかを一緒に考えるためのものです。
まとめ
1歳半で言葉が出ないと、不安になるのは自然なことです。 でも、その不安をすぐに「親のせい」「発達障害かもしれない」「もう遅い」と決めつける必要はありません。
- 言葉以外で伝えようとしているか
- 大人の言葉をどのくらい理解しているか
- 音や呼びかけへの反応に気になる点があるか
- 家、園、外出先で様子が違うか
- 親自身がどの場面で一番限界に近いか
子どもの発達は、親が一人で背負い込むものではありません。 まずは、今日の様子を3行だけ書くところから始めてみてください。
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不安をひとりで抱え込まないために
参考