実体験・ADHD
ADHDとタトゥーに関係はある?研究で分かること・分からないこと
「タトゥーがある人はADHDなのか?」という話ではありません。研究で確認できる関連と、私自身がタトゥーに込める意味を分けて考えます。
この記事は、当事者・保護者としての経験と公開されている研究・公的情報を分けて整理しています。診断や治療の代わりになるものではありません。生活への支障が強い場合は、医療機関や自治体の相談窓口など専門家へご相談ください。
私はADHD当事者で、タトゥーが好きです
タトゥーについては、「もう大人なんだからやめたら」「子どものことを考えているの?」と言われることがあります。社会生活上の制約があることは分かっています。それでも、私にとっては単純に「好きだから入れている」という面と、自分の歴史を残す感覚の両方があります。
では、ADHDとタトゥーには研究上の関係があるのでしょうか。
スウェーデンの815人を調べた横断研究
2022年に発表された研究では、ADHD診断を受けている人を除いたスウェーデンの一般成人815人を対象に、成人ADHD自己記入尺度(ASRS)とタトゥー・ピアスの有無を調べています。
対象者のうち、タトゥーありは30%、耳たぶ以外のピアスありは18%、タトゥーとピアスの両方ありは12%でした。ボディ・モディフィケーションがある群では、ない群よりASRSの合計・下位尺度スコアが統計的に高い結果でした。
しかし「タトゥーがある=ADHD」ではない
- タトゥーがADHDを引き起こす、またはADHDがタトゥーを入れさせるという因果関係
- タトゥーを見ればADHDを判断できるということ
- タトゥーがある人の性格や危険性を判断できるということ
研究は一時点の関連を見た横断研究です。著者らも、差は統計的に有意でも臨床的な意味は不確かだとしています。ここを飛ばして「ADHDの人はタトゥーを入れやすい」と断定するのは行き過ぎです。
「衝動性」や「刺激追求」は仮説として考えられるが、証明ではない
ADHDには衝動性という症状が含まれます。そのため、タトゥーやピアスとの関連を考えるとき、衝動性などの性質が背景にある可能性は想像できます。ただし、この研究だけで「なぜ関連したのか」までは決められません。
タトゥーを入れる理由は、ファッション、文化、記念、自己表現、喪失の記憶など、人によってまったく違います。研究上の関連と、その人自身の意味は分けて扱う必要があります。
私にとっては「ここまで生きてきた印」でもある
写真のタトゥーには、自分にとって大切な意味があります。失敗、人間関係、仕事、家庭で何度も落ち込んできた中で、「ここまで生きてきた」という記憶を身体に残したい感覚がありました。
これは研究結果ではなく、あくまで私個人の意味づけです。タトゥーが誰にとっても自己防衛になる、という話ではありません。
大切なのは、選択の前後を自分で扱えること
タトゥーに限らず、衝動が強いと感じるときには、「今すぐ決める必要があるか」「費用や仕事への影響はどうか」「数日置いても同じ気持ちか」を確認するだけでも判断は変わります。
そして最後は、研究で自分を正当化する必要も、逆に研究で自分を否定する必要もないと思っています。タトゥーはタトゥー、ADHDはADHD。関連を調べるのは面白い。でも人間そのものをラベル一つで説明しないことの方が大事です。