ADHD・感情調整
ADHDの子どもが「キレやすい」と見えるとき|感情調整を整理する
「ADHDだからキレる」と決めつけず、感情が強くなりやすい条件と、家庭で変えられる部分を分けて考えます。
この記事は、当事者・保護者としての経験と公開されている研究・公的情報を分けて整理しています。診断や治療の代わりになるものではありません。生活への支障が強い場合は、医療機関や自治体の相談窓口など専門家へご相談ください。
「ADHDだからキレる」と決めつけない
私は自分でも感情の抑制がうまくいかず、後から「またやってしまった」と落ち込むことがあります。子どもたちを見ていても、感情の切り替えが難しい場面はあります。
ただし、ADHDの診断基準そのものに「キレやすい」という項目があるわけではありません。怒りや癇癪には、睡眠不足、不安、ASD、学習のつまずき、家庭や学校でのストレスなど多くの要因があり得ます。
研究では「感情調整の難しさ」がADHDに多いとされている
Shawらの2014年レビューでは、感情調整の難しさ(emotion dysregulation)はADHDの子どもから大人まで広く見られ、生活上の機能低下にも関係する重要な問題として整理されています。2023年の成人ADHDのスコーピングレビューでも、感情調整の難しさは頻繁にみられるとされています。
ここでいう感情調整とは、感情を「持たない」ことではありません。怒り、不安、悔しさなどが強く立ち上がったときに、強さを調整したり、気持ちを切り替えたり、行動に出す前に一度止まったりする過程です。
家庭で起こりやすい悪循環
- 宿題、ゲーム終了、着替えなど切り替え場面で負荷が上がる
- 子どもの声量や動きが大きくなる
- 親も時間や疲れに追われて強い口調になる
- 子どもの興奮がさらに上がる
- 落ち着いた後、親子ともに自己嫌悪になる
このループを「子どもの性格」「親のしつけ」のどちらか一方だけで説明すると、対策が作りにくくなります。どの場面で負荷が上がるかを見つけ、途中の一箇所を変える方が現実的です。
爆発してから説得するより、爆発前の条件を変える
感情が大きく上がっている最中に、長い説明や正論で納得させようとしても難しいことがあります。落ち着いている時間に、次の切り替えを予告する、やることを一つにする、休憩場所を決めるなど、事前の環境を調整した方がうまくいくケースがあります。
「何を言えば言うことを聞くか」より、「何が重なると爆発しやすいか」を見ます。睡眠、空腹、音、予定変更、きょうだいとの距離、学校後の疲れなどを記録すると、感情だけでは見えなかったパターンが見えることがあります。
特性は免罪符ではない。でも責めるだけでも改善しにくい
ADHDや感情調整の難しさがあることは、他人を傷つけてよい理由にはなりません。一方、「キレるな」「我慢しろ」だけで調整能力が身につくわけでもありません。
安全を守る境界線は明確にしつつ、本人が落ち着く方法、伝え方、環境調整を一緒に増やしていく必要があります。暴力、自傷、強い不安、学校生活への大きな支障などがある場合は、家庭だけで抱えず専門家へ相談してください。
参考にした一次情報・公的情報
次の一歩を考えたい方へ
発達特性や気持ちを、専門家と一度整理してみる
「自分だけでは整理しきれない」「同じことで何度もつまずく」と感じる場合は、心理の専門家と話しながら困りごとを整理する方法もあります。
Kimochiでは、ADHD・ASDなど発達特性に伴う仕事・人間関係・感情・時間管理などの悩みをオンラインで相談できます。発達特性を得意分野にする公認心理師も在籍しています。
医療との違い:Kimochiは医療機関ではなく、診断・治療・投薬は行いません。診断や治療を希望する場合は医療機関へ相談してください。