ADHD・感覚

ADHDと「音がうるさすぎる」感覚|音過敏をどう考えるか

「世界がうるさすぎる」という感覚はあり得ます。ただし、頭の中で音が鳴る感覚と、外の音への過敏さは同じものではありません。

初回公開:2026/01/09 最終確認:2026/08/18

水辺の遊歩道。音や刺激から離れて休憩していた場所の写真

この記事は、当事者・保護者としての経験と公開されている研究・公的情報を分けて整理しています。診断や治療の代わりになるものではありません。生活への支障が強い場合は、医療機関や自治体の相談窓口など専門家へご相談ください。

最初に訂正したいこと:「頭の中の音」とハイパーアクシスは同じではない

私は以前から、疲れていると頭の中で衝突音のような音をイメージしたり、独り言や擬音が出たりすることがあります。元のnote記事では、この体験をハイパーアクシス(hyperacusis)と結びつけて書いていました。

ここは分けて考える必要があります。

ハイパーアクシスは、外から入ってくる日常音への耐性が下がり、普通の音を過度に大きい・不快・痛いと感じる状態です。「頭の中だけで音が鳴る感覚」をそのままハイパーアクシスと呼ぶことはできません。

頭の中の音については、単なる音のイメージ、耳鳴りなど別の現象もあり得ます。実際の音がないのに音が聞こえる感覚が続く、生活への支障が強い、不安がある場合は、自分でADHDの症状と決めつけず医療機関へ相談する方が安全です。

ADHDの子どもと音過敏を調べた小規模研究はある

2020年にRalliらが発表した研究では、ADHDの子ども30人と対照群30人を比較し、ハイパーアクシスはADHD群で11人(36.7%)、対照群で4人(13.3%)に認められました。差は統計的に有意でした。

ただし、研究者自身が「予備的な結果」と位置づけ、より大きなサンプルでの検証が必要としています。したがって、「ADHDの3人に1人は音過敏」と一般化するのは適切ではありません。

「聴力が正常」でも、音がつらいことはある

この研究では、対象となった子どもたちは通常の聴力検査で正常範囲でした。それでも、日常音への耐性という別の面で困りごとが見つかっています。

学校や家庭では、音への反応だけを見て「集中力がない」「わがまま」と受け取られることがあります。しかし、本人にとって刺激が強すぎる可能性もあります。まずは、どの音・場所・時間帯で負担が上がるかを見る方が建設的です。

家庭や学校で試せる小さな環境調整

  • 静かな席や休憩場所を用意する
  • 掃除機、ドライヤー、チャイムなど、特に苦手な音を記録する
  • 突然の大きな音が出る予定を先に伝える
  • 必要に応じて短時間のイヤーマフ等を検討し、使い方は専門家にも相談する
  • 痛み、耳鳴り、聞こえの変化がある場合は耳鼻咽喉科などで確認する

目標は「全部の音に慣れさせる」ことではなく、生活が回る程度に負荷を下げながら、その子にとって何がつらいのかを見つけることです。

「うるさい」を性格の問題にしない

音へのつらさは外から見えません。だからこそ、「そんな音、みんな平気だよ」で終わらせるより、「どの音が、どれくらいしんどい?」と一度受け止めた方が、困りごとの正体を探しやすくなります。

ADHDと音過敏の関係はまだ研究途上です。分かっていることを過大評価せず、それでも本人の訴えは軽視しない。その中間に立つのが、今のところ一番現実的だと考えています。

参考にした一次情報・公的情報

どこに相談するか迷っている方へ

「診断」「気持ちの整理」「仕事の相談」は、相談先が異なります

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